碇シンジというキャラクターに息を吹き込み、唯一無二のリアリティを与えたのが声優・緒方恵美の熱演です。シンジのセリフが持つ凄みは、単なるテキストの強さだけでなく、声帯と感情を極限まで酷使した迫真の演技によって生み出されました。
第1話の苦悶に満ちた呻き声や、バルディエルに寄生された参号機を初号機のダミーシステムで破壊された際の「やめてよ父さん!こんなのやめてよ!」という絶叫は、アフレコ現場で酸欠状態になりながら収録されたエピソードが有名です。
単なる「弱々しい少年」ではなく、内に秘めた激しい怒り、思春期特有の繊細な脆さ、そして終盤に見せる芯の通った低音の響きまで、緒方恵美のボイスパフォーマンスこそが、シンジのセリフを30年近く色褪せない名言たらしめた最大の功績です。