日本人が「タイ米=まずい」という固定観念を抱くようになった最大の契機は、1993年(平成5年)の「平成の米騒動」です。記録的な大冷害による深刻な米不足を受け、日本政府はタイから緊急輸入を行いました。しかし、当時の流通現場ではインディカ米に適した調理法が周知されないまま店頭に並び、消費者は粘り気のある日本米と全く同じ炊き方をしてしまいました。
さらに、一部で国産米とタイ米を無理にブレンドして販売した結果、「水分を吸いすぎてベチャベチャになり、独特の匂いだけが際立つ」という最悪の体験が全国に広がってしまったのです。当時の緊急輸入米は加工用の低コスト品種が中心だったこともあり、これが「タイ米はパサついて臭い」という根強いネガティブ評価を定着させました。
しかし、タイ米がまずいと言われる理由は米自体の品質不良ではなく、「デンプン構造が異なる米を、日本米の調理ルーティンで扱ったことによるミスマッチ」に過ぎません。その本来のポテンシャルは、適切な調理法によって初めて開花します。