「一部店舗で棚が空いたのは、一時的な物流の遅延が原因に過ぎない」。大手流通アナリストはきっぱりと否定する。ネット上で散見される品薄説は、特定の店舗における入荷タイミングのズレがSNSで拡散された典型的な心理的パニックだ。現実には国内工場の稼働率は極めて高く、在庫そのものは十分に確保されている。
一方で、店頭価格の上昇は紛れもない現実である。その最大の要因は、海外から輸入する木材パルプ原価の変動だ。世界的な需要増に加え、高止まりする海上運賃と為替の影響が重なり、原料調達コストを大きく押し上げた。さらに重油や電力などの製造エネルギー費、人手不足に伴う輸送コストの上昇が、メーカーの採算を限界まで圧迫している。
製紙業界の裏側では、これまで企業努力によって吸収されてきたコスト増分が、いよいよ製品価格へ転嫁せざるを得ない局面を迎えている。単なる一過性の値上げではなく、サプライチェーン全体のリフレによる構造的な価格変化と捉えるのが自然だ。