海辺の青空に向かって異彩を放つ八角三層の優美な楼閣。国の重要文化財に指定されている「孫文記念館(移情閣)」だ。大正4(1915)年、神戸を拠点に活躍した華僑実業家・呉錦堂が建てた別荘であり、中国革命の父と呼ばれる孫文が滞在したゆかりの地として世界的に知られている。
館内に一歩足を踏み入れれば、精緻な木造彫刻と色鮮やかな金唐革紙の壁紙が織りなす極上の異国情緒が漂う。窓辺に立ち、かつて孫文も眼下に収めたであろう明石海峡の雄大な波濤を眺めていると、動乱の歴史を駆け抜けた先人たちの情熱が静かに蘇ってくる。