手軽に作れるがゆえに、ネット上には「どんなチーズでも合う」「安価な沢庵で代用できる」といった誤った情報も散見されます。ここで2つの重大な盲点を正しておきます。
第一の誤解は「プロセスチーズやカマンベールでも代用できる」という説です。一般的なプロセスチーズは乳脂肪分の融点がやや高く、口の中でいぶりがっこと馴染む前に分離してしまいます。また、白カビ系のカマンベールは外皮の苦味といぶりがっこの燻香が喧嘩し、エグみを感じやすくなります。フレッシュタイプ特有の適度な水分量と柔らかな酸味、滑らかなテクスチャーを持つ「クリームチーズ(またはマスカルポーネ)」だからこそ、あの奇跡的な一体感が生まれるのです。
第二の盲点は「燻液(くんえき)を使用した安価なたくあんとの混同」です。市販品の中には、通常のたくあんに香料(燻液)を添加してスモーキーに仕立てた製品も存在します。これらは手軽ですが、本物の楢や桜の薪でじっくり時間をかけて燻製された秋田の伝統製法いぶりがっこに比べると、香りの奥行きや噛み締めたときの旨味の伸びが全く異なります。本物の味わいを求めるならば、原材料名に「大根、漬け原材料(米糠、食塩、砂糖等)」と明記され、薪による自然燻乾を行っている秋田県産GI保護マーク付き製品を選ぶことが失敗しないコツです。