高齢者の尿路感染症が命を奪う真相|熱なき急変と敗血症を防ぐ鉄則

高齢者の尿路感染症が命を奪う真相|熱なき急変と敗血症を防ぐ鉄則

高齢者の尿路感染症が命を奪う真相|熱なき急変と敗血症を防ぐ鉄則の特集記事をお届けします。専門的な知識が満載です。

Q1:高齢者が尿路感染症になると、なぜ熱が出ないのに急死することがあるのですか?
A1:高齢者は免疫機能や視床下部の体温調節中枢が衰えており、重篤な炎症が起きていても発熱という警告反応が表に出にくいためです。熱が出ないまま膀胱や腎臓で細菌が増殖し、血液中に病原体が溢れ出る「尿路性敗血症」へ進行します。この状態になると血管が拡張して急激な血圧低下や多臓器不全(敗血症性ショック)を引き起こし、発見された時には手遅れとなって短時間で死に至るケースが存在します。

Q2:尿路感染症で入院した場合の入院期間や費用の目安はどれくらいですか?
A2:軽度の腎盂腎炎であれば10日から2週間程度の入院で点滴加療を行いますが、敗血症を合併した重症例では集中治療室(ICU)管理や全身状態の回復を含め、3週間から数ヶ月に及ぶ長期入院となることが一般的です。費用面は後期高齢者医療制度(1〜3割負担)および高額療養費制度が適用されるため、月額の自己負担限度額(一般所得者で約1万8,000円〜5万7,600円程度、現役並み所得者は区分に応じた金額)内に収まるケースが多いものの、差額ベッド代や食事代、オムツ代などの保険外費用が別途加算されます。

Q3:認知症の家族が急に怒りっぽくなったり会話が通じなくなったりした場合、尿路感染症の可能性はありますか?
A3:十分に考えられます。高齢者の感染症では、発熱や局所の痛みの代わりに「せん妄」や急性意識障害が前面に出ることが非常に多いです。急激な認知機能の低下、不穏、夜間徘徊、幻覚、あるいは極端な傾眠傾向が見られた場合、認知症自体の進行ではなく、尿路感染症や脱水などの急性疾患が隠れていないかを疑い、速やかに尿検査や血液検査を受ける必要があります。

Q4:終末期の高齢者で尿路感染症を繰り返す場合、抗生剤治療を続けるべきですか?
A4:一律の正解はなく、本人の事前意思や全身状態に基づいた慎重な判断が必要です。抗生剤投与によって一時的に改善しても、繰り返すうちに耐性菌が発生し、薬が効かなくなるリスクがあります。また、衰弱した身体への頻回な点滴が浮腫や呼吸困難などの身体的苦痛を増大させることもあります。無理に菌を根絶することを目指すのではなく、解熱鎮痛剤や十分なスキンケアによる不快感の緩和を優先する看取り(緩和ケア)の選択肢について、主治医や訪問看護師と率直に話し合うことが強く推奨されます。

林 結菜
Author

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。