歴史をさかのぼると、ブランドの創業は1946年にまで至る。創業者である森本福蔵が横浜元町で立ち上げた「フクゾー洋品店」こそが、すべての始まりだ。当時は駐留軍のアメリカ兵やその家族が街を行き交い、本場の西洋文化が日常に溶け込んでいた時代。洋服作りの基本を愚直なまでに追及した森本福蔵の哲学は、やがて自社オリジナルの生地開発と、完全国内生産という妥協のないモノづくりへと結実していく。
やがて1970年代後半、ファッション誌『雑誌JJ』がこのスタイルを大々的にフィーチャーしたことで、空前のハマトラ旋風が日本全国を駆け抜けた。上品で知的、どこか育ちの良さを感じさせるスタイルは、瞬く間に全国の女性たちの憧れの的に。そしてその装いを完成させるために不可欠だったのが、フクゾーのウェア、株式会社キタムラのバッグ、そして株式会社ミハマ商会のフリンジローファーという「元町御三家」の黄金トリオだった。港町の洒脱なセンスが生んだこのトリニティは、日本の街頭ファッション史に刻まれる金字塔となったのである。