この壮絶な衝突の真っ只中にカメラを担いで飛び込み、歴史の証言をフィルムに焼き付けた人物がいる。鬼才・小川紳介監督だ。彼はスタッフとともに現地に住み込み、農民たちと寝食を共にしながら撮影を敢行した。
そうして完成したドキュメンタリー映画の金字塔が、映画『三里塚の夏』である。画面に立ち現れるのは、記号化された「活動家」ではなく、大地に根を張り、家族を守るために声を荒らげる泥臭い人間の息遣いそのものだ。独立映画運動の歴史においても不朽の名作として称えられる本作は、時代の熱量と民衆の執念をありのままに現代へ伝えている。