世界的なワークスタイルの変容に伴い、アパレル産業全体が大きな転換期を迎えている。スーツの義務化を廃止し、より柔軟なドレスコードを導入する企業が急増。その潮流の真ん中で圧倒的な存在感を示すのが、ファーストリテイリングを率いる柳井正氏の経営哲学だ。同社は「LifeWear」という概念を掲げ、服を単なるトレンドから「高品質な生活インフラ」へと再定義した。
この戦略的シフトは、世界中のオフィスワーカーの装いを根本から書き換えた。かつては高級仕立て服が担っていた「知的で洗練された印象」を、圧倒的なマスプロダクションと徹底した品質管理によって民主化。高級ブランドと見紛うばかりのファブリック開発は、アパレル市場における価値基準そのものを揺るがしている。