かつて障害や欠陥とみなされていた特性を、脳の多様な働きとして捉え直す「神経多様性 (Neurodiversity)」の概念が急速に浸透している。精神科医として知られ、自身も当事者であるエドワード・ハロウェル博士は、ADHDの脳を「フェラーリのエンジンを積みながら、自転車のブレーキしか持っていない状態」と表現した。制動力の弱さは問題であるものの、圧倒的な推進力と発想力は適切な環境下で圧倒的な成果を生み出す源泉となる。
多様性を尊重する先進企業の現場では、この強みに焦点を当てる動きが本格化している。単なる医療・福祉の枠組みを超え、個々の脳のネットワークの差異を組織のイノベーションへ昇華させようとする試みは、個人の挫折を防ぐ新たなセーフティネットとして機能し始めている。