かつて二次元の世界において、ヒロインは「聖女」か「悪女」の二項対立で描かれがちであった。しかし、その固定観念を根底から破砕したのが日本の出版業界であり、とりわけ青年漫画の領域である。
そのエポックメイキングな金字塔として語り継がれるのが、漫画家・横槍メンゴによる傑作『クズの本懐』だ。集英社の人気作品『【推しの子】』で作画を務めることでも知られる横槍メンゴは、本作において歪んだ恋愛観と性衝動、そして外面の可憐さと内面のグロテスクな欲望を抱える若者たちの姿を抒情的に描き切った。単なる「萌え」の文脈ではなく、歪んだ純愛と欲求不満が同居する複雑な女性像は、サブカルチャーシーンに計り知れない爪痕を残した。
KADOKAWAや集英社といった大手出版社が展開する青年漫画誌でも、この「一筋縄ではいかない多面的なヒロイン」の系譜は確実に受け継がれており、読者の共感と歪んだ愛着を呼び覚まし続けている。