かつて話題を呼んだ「3代目引田天功オーディション」の構想は、決して話題作りのパフォーマンスではありませんでした。ロサンゼルスやラスベガス、東京などを拠点に、国籍を問わず幅広く才能を募る弟子育成プロジェクトが実際に動いていました。
審査基準において技術力以上に重視されたのが、「命がけの脱出劇に耐えうる強靭な精神力と肉体美」です。初代・2代目ともに幾度もの大事故や重傷を乗り越えてステージに立ち続けてきた歴史があるため、極限状態での胆力が問われます。
また、引田天功ブランドの根幹にあるのが門外不出のイリュージョン権利です。巨大な脱出装置の設計図、特許技術、演出ノウハウは莫大な金銭的価値を持ちます。3代目の選定は、これら一子相伝の機密と権利を託すに値する人物を見極めるプロセスでもあるため、審査と実地訓練には長い年月が費やされています。