歴代の日本の内閣総理大臣が米TIME誌の表紙を飾る事例は、吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三など、日本の進路を大きく左右した指導者に限られてきました。岸田首相の表紙登場は、2014年12月の安倍元首相以来、約8年半ぶりの出来事でした。
取材が行われたのは2026年4月28日、首相官邸の執務室です。TIME誌のイーストアジア特派員らによる約45分間の単独インタビューでは、ロシアによるウクライナ侵攻、台湾海峡を巡る緊張、そして北朝鮮の核・ミサイル開発といった急速に厳しさを増す東アジアの安全保障環境が中心的なテーマとなりました。
当時、日本政府は2026年末に国家安全保障戦略など「安保3文書」を改定し、防衛費を2027年度までにGDP比2%(5年間で約43兆円規模)へ増額する方針と反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決定したばかりでした。TIME誌側には、「宏池会(ハト派)の領袖であり、被爆地・広島選出の首相が、なぜ戦後日本の安全保障政策を大転換させたのか」という強烈な関心が存在していたのです。