アラル海の悲劇を象徴する光景として世界的に知られるのが、ウズベキスタン西部のカラカルパクスタン共和国にある町・モイナク(ムイナク)に広がる「船の墓場」です。かつてモイナクは数千人規模の漁師が働き、巨大な缶詰加工工場が稼働するソ連有数の活気ある港町でした。
しかし、湖岸線は急速に後退を続け、わずか数年のうちに水面は港から数キロ、数十キロ、最終的には100キロメートル以上も彼方へと遠ざかりました。取り残された大型漁船や加工船は砂浜となった旧湖底に打ち捨てられ、強烈な紫外線と吹きすさぶ風雨によって赤茶色に錆びついた「幽霊船」となって砂漠の真ん中に点在しています。
かつて波打ち際だった岸壁にはモニュメントが建ち、世界中からジャーナリストや旅行者が訪れるダークツーリズムの地となっていますが、現地の人々にとっては豊かな生活基盤を一瞬にして奪われた傷痕そのものです。