兄妹が家を出て行った後、叔母の心にはどのような思いが残されたのだろうか。劇中では、横穴に移り住んだ清太と節子が栄養失調で命を落とすという結末を迎える。近所に住んでいながら、二人が死に瀕していたことを叔母が知らなかったはずはない。
戦後、生き残った人々が多くを語らなかったように、叔母もまた自らの正当性を主張すると同時に、二人を救えなかったという消し去れない後悔を抱え続けたと推測される。「もう少し優しく接していれば」「あのとき引き止めていれば」という痛切な念は、戦後の平和な時代が訪れるにつれ、より深く胸を刺したに違いない。彼女の態度の裏にあったのは、時代の狂気に流された者としての自責の念であった。