韓非子が『キングダム』に登場し、咸陽で悲劇的な最期を迎えるまでの一連の流れは、単行本70巻から71巻(第759話〜第768話)にかけて濃密に描かれています。わずか10話足らずの滞在でありながら、作中屈指の心理サスペンスとして読者を釘付けにしました。
時系列を整理すると、物語は以下のように緊迫感を増しながらクライマックスへと進んでいきます。
- 70巻・第759話「言葉の力」〜第763話「火の正体」:秦国から騰(とう)や信(しん)率いる使節団が韓の王都・新鄭を訪問。希代の天才として知られる韓の公子・韓非子と対面。信との熱い思想問答を経て、韓非子は秦王・嬴政(えいせい)の招聘に応じ咸陽へ向かう。
- 71巻・第764話「不穏な影」〜第765話「暗躍の夜」:咸陽に到着した韓非子だったが、秦国の軍事施設や宮廷の機密を探るような不審な動きを見せ始める。これに秦の司法長官である李斯が危機感を抱く。
- 71巻・第766話「姚賈の言葉」〜第767話「姚賈の正体」:韓非子は秦の諜報長官である姚賈を「多重スパイ(趙の郭開らとも通じる二重間諜)」として告発。姚賈と李斯が深夜に対峙し、中華統一の裏で動く諜報戦の過酷な現実が明かされる。
- 71巻・第768話「二人の友」:秦国の牢獄に収監されていた韓非子が、自ら毒を仰いで服毒自害を遂げる。駆けつけた李斯が冷たくなった友を抱きしめ、号泣する衝撃の幕切れとなった。
初登場時から独特の吃音(どもり)と飄々とした態度を見せていた韓非子が、国家の命運を背負う冷徹なスパイとしての一面を露わにし、最後は自らの信念を貫いて命を絶つ展開は、掲載当時のヤングジャンプ本誌でも凄まじい反響を呼びました。