数年前まで過熱していた「ミニマリズム」や「断捨離」のブームを経て、人々の物に対する考え方にも大きな変化が見られる。単に物を捨てて部屋をすっきりさせることへの物足りなさを感じた人々が、いま手元に残そうとしているのは、ストーリーが宿った物品だ。
古い着物をリメイクしたクッションカバー、使い込まれた茶碗、少し褪せた手編みのマフラー。それらは単なる「古いモノ」ではなく、かつて誰かが自分のために注いでくれた時間と愛情の物理的な証拠だ。断捨離の波を生き残った品々には、他には代えがたい精神的な価値が宿っており、人々はモノそのものよりも、そこに刻まれた時間と想いを大切に守り続けている。