日本の教育現場でも、この古典を教材として扱う新しいアプローチが広がっている。従来の「良いことをすれば報われ、悪いことをすれば罰せられる」という一方的な道徳的指導から脱却し、児童同士が主人公たちの心情を立体的に議論するワークショップが好評を博している。
都内の小学校で行われた授業では、「もし自分が隣のお爺さんだったら、どうすれば鬼を喜ばせることができただろうか」「瘤は単なる障害物だったのか、それとも個性の象徴だったのか」といったテーマで討論が行われた。単なる善悪の二項対立ではなく、他者とのコミュニケーションにおける心理のギャップを考える格好のテキストとして、往年の名作が新鮮な息吹を吹き込まれている。