市立福山には、私学のような野球部専用の巨大ドームも、完全ナイター設備の専用球場もない。他部活とグラウンドを分け合う日も少なくない。だが、彼らはそれを言い訳にしなかった。
「狭いなら、狭いなりの頭を使えばいい」。チームが導き出した答えは、1分単位で区切られたタイムスケジュールと、高負荷なショートサーキット運動の導入だった。ダラダラと長いノックを受けるくらいなら、15分間に凝縮した実戦形式の守備連携を行う。集中力が研ぎ澄まされた状態で行うトレーニングは、ミスを激減させた。制約があったからこそ生まれた「時間あたりの高密度な練習」が、後半勝負での粘り強さを生んでいる。