アート市場の動きも過熱している。東京や香港、さらにはロンドンのオークションハウスにおいて、ラッセンの80年代後半から90年代前半にかけて制作された初期の原画(アクリル画・油彩画)の落札価格が上昇傾向にある。数年前までは数十万円程度で取引されることも多かった版画においても、サイン入りの初期エディションや良好な状態のものは市場から急速に姿を消しつつある。
買い手となっているのは、かつて親の世代が家に飾っていた絵を懐かしむ30代〜40代のミドル層だけではない。欧米やアジアの海外コレクターが「日本のアニメ・ゲームカルチャーと並行して独自の発達を遂げたジャパニーズ・ポップ・リアリズムの異端」として買い集めているのだ。かつてバブルのあだ花と揶揄された作品たちが、国際的なアート投資のポートフォリオに組み込まれるという、皮肉でドラマチックな展開が繰り広げられている。