専用車両の屋根に設置された特殊カメラによるパノラマ写真撮影は、都市の景観から郊外の田園風景までをシームレスに記録していく。しかし、撮影車は一定の速度で移動しながら機械的にシャッターを切り続けるため、沿道で起きている突発的な事象を回避することはできない。路上で日光浴を楽しむ人影、窓越しに見えるプライベートな一幕、あるいは意図的なパフォーマンス。これらが一切の選別なしにデータとして蓄積されたことが事態の根底にある。
初期のデータ処理プロセスでは、膨大な画像情報を人海戦術で精査することは不可能だった。結果として、センセーショナルなカットがそのままウェブ上に公開され、バイラルメディアがこぞって取り上げることで世界的なバズへと発展した。好奇心を刺激する要素を含んだスクープ画像は、瞬く間にミラーサイトやまとめブログへ転載され、削除後もデジタルフットプリントとして残り続ける事態を招いたのである。