2019年公開の実写版『アラジン』では、ラジャーはCGによってリアルな虎として再現された。アニメ版ではややコミカルな表情も見せたラジャーだが、実写版ではジャスミンの護衛としての獰猛さと、彼女にだけ見せる従順さのコントラストが強調されている。特に、ジャスミンが宮殿内で自由を求めて行動するシーンでは、ラジャーが彼女の心情を代弁するかのように唸り声を上げる演出が加えられた。
実写版で特筆すべきは、ジャスミンがラジャーに対して「私の友達」と語りかけるシーンである。これはアニメ版以上に、ラジャーが単なるペットではなく、ジャスミンの精神的支柱として機能していることを示唆する。ディズニー公式のメイキング映像によると、監督のガイ・リッチーは「ラジャーはジャスミンの孤独を埋める存在であり、彼女の怒りや悲しみを代弁する鏡」と説明している。この解釈は、ラジャーが物語のテーマである「抑圧からの解放」を体現するキャラクターであることを裏付ける。
また、実写版ではジャスミンがラジャーにまたがって宮殿を抜け出すシーンが追加された。アニメ版ではラジャーがジャスミンを乗せて走る描写はあるが、実写版ではより長尺で描かれ、ジャスミンの行動力とラジャーの忠誠心が視覚的に強化されている。この変更は、2010年代以降のディズニー映画における女性キャラクターの能動性向上という潮流と無関係ではない。