2015年8月、中野区のマンションでアルバイトを終えて帰宅した女性が襲われた。彼女は劇団員として活動し、将来を嘱望されていた。あまりにも理不尽な死。犯人は見ず知らずの男だった。ストーカー行為の末の凶行か、あるいは偶発的な侵入か。当時の捜査は混迷を極めたが、防犯カメラの映像などが決め手となり容疑者が逮捕された。
この事件が恐ろしいのは、誰の身にも起こり得ることだったからだ。特に、夜遅くまで稽古やアルバイトに追われる劇団員にとって、深夜の帰宅路は日常の風景に過ぎない。その日常の裏側に、底知れぬ悪意が潜んでいた。