野球を辞め、暗闇の中で模索していた彼が辿り着いたのが「芝居」の世界だった。高校卒業後に上京し、養成所の門を叩いた山田裕貴。その胸にあったのは、父のコネや威光には絶対に頼らないという凄まじい執念だ。「親の名前で仕事をもらっても何の意味もない」。彼は自ら二世という肩書を封印し、泥にまみれた下積み生活へと突入していった。
デビュー作となった特撮ドラマ『海賊戦隊ゴーカイジャー』以降、彼はどんな小さな役であっても怪演を見せ、作品ごとに全く異なる顔を見せる「カメレオン俳優」としての評価を確立していく。狂気を感じさせる役柄から等身大の青年役まで、画面を圧倒するその存在感。それはプロアスリートとして極限のプレッシャーと戦い続けてきた父親から、知らず知らずのうちに継承していた「勝負師の執念」そのものだった。