連載開始から時を経た2026年の現在においても、この二人の最期は漫画史に残る屈指の金字塔として語り継がれている。主人公ゴンが復讐心によって人間性を捨て怪物へと変貌していく一方で、生まれながらの怪物であったメルエムがコムギという人間を通して愛を知り、人間として死んでいく対比。この鮮烈な反転構造こそが冨樫義博の真骨頂だ。
最新の考察では、コムギはメルエムの「心の救い」であったと同時に、王による世界征服を完全に阻止した「極めて特殊な概念的兵器」でもあったという視点が提示されている。武力や策略ではなく、純粋な意志と愛によって世界を結果的に救った少女の姿は、少年漫画の領域を大きく押し広げた。