彼のキャリアにおいて、大きな転機の一つとなったのが主演ドラマ『#居酒屋新幹線』シリーズだ。出張帰りの新幹線車内を自分だけの「居酒屋」に見立て、ご当地の絶品グルメと地酒を味わう——そのシンプルな設定が、多忙な現代人の琴線に見事に触れた。
セリフの多くが心の声(モノローグ)で構成されるこの作品で、彼は絶妙な表情の変化と間(ま)の取り方だけで、料理の美味さと酒の味わい深さを表現してみせた。大声で叫ぶような演技ではない。一口食べた後の小さな吐息、目線の動き一つで視聴者の腹を鳴らせる技術こそ、彼が長年培ってきた「静の演技」の真骨頂である。