大河原デザインの真骨頂は、ハードな兵器からコミカルなマスコットメカまでを自由自在に生み出す卓越した振り幅の広さにあります。
1983年の名作『装甲騎兵ボトムズ』に登場する「スコープドッグ(ATM-09-ST)」は、その代表例です。全高4メートル足らずのコンパクトな機体、使い捨ての鉄の棺桶とも称される徹底した消耗品設定、回転式ターレットレンズなど、極限まで無駄を削ぎ落としたミリタリズムの極致を描き出しました。
その一方で、『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』の「ヤッターワン」をはじめとするタツノコギャグメカでは、親しみやすい曲線と愛嬌あふれる表情を持つキャラクター性豊かなデザインを展開。さらに1990年代には『勇者エクスカイザー』をはじめとする「勇者シリーズ」のメカデザインを手掛け、変形・合体ギミックを盛り込んだ王道ヒーローロボットの魅力を次世代の子供たちへ提示しました。この驚異的なレンジの広さこそ、大河原氏が半世紀にわたりトップを走り続けられた秘訣です。