館内の展示構成は、渡辺淳一という人物の特異なキャリアと人間性を立体的に浮き彫りにします。2階の常設展示室では、札幌医科大学の整形外科医として勤務していた時代の医学論文や医療器具から、直木賞を受賞した『光と影』、社会現象を巻き起こした代表作『失楽園』、晩年の『鈍感力』に至る膨大な著作の直筆原稿、取材ノートが整然と並べられています。
特に来館者の足を止めるのが、東京の仕事部屋を再現した書斎コーナーです。使い込まれた万年筆、愛用のデスク、煙草の吸い殻が残るかのようなリアルなディスプレイからは、毎晩原稿用紙に向き合っていた作家の執念が立ち上ってきます。また、定期的に開催される特別展示・企画展では、渡辺作品を彩った挿絵画家たちの原画展や、同時代を生きた文豪たちとの往復書簡など、専門性の高いキュレーションが展開されています。
展示を鑑賞した後は、1階エントランス脇に設けられた喫茶・カフェコーナーでのひと休みが定番のコースです。大きなガラス窓越しに中島公園方面の木立を眺めながら、挽きたての本格ネルドリップ珈琲や北海道産の素材を用いたスイーツを味わえます。利用客からは「札幌中心部の喧騒を忘れられる極上の隠れ家」「BGMの音量も控えめで、渡辺作品を読了するのに最高の環境」と極めて高い評判を得ています。なお、カフェスペースのみの利用であれば入館料は不要となっており、近隣住民の日常の憩いの場としても機能しています。