政治の世界において、リーダーの病は最大の弱点となり得る。自由民主党内部でも、安倍氏の体調悪化が囁かれるたびにポスト安倍を巡る派閥間の駆け引きが水面下で激化した。
首相官邸側は「総理は至って健康であり、執務に何ら支障はない」と公式発表を繰り返した。しかし、首相動静を追う記者たちの間では、歩行スピードの鈍化、顔色の蒼白さ、吐血の噂など、不穏な兆候がリアルタイムで共有されていた。情報を遮断し、政権の求心力を保とうとする官邸首脳部と、実態を掴もうとする政治部記者たちの間で、熾烈な情報戦が展開された。
健康問題が単なる個人的な医療情報にとどまらず、政策決定、解散総選挙の時期、そして党内力学を根底から狂わせる権力闘争の起爆剤となった好例である。