こうしたネット上の世論工作は、政治家や党幹部単独の手によって行われているわけではない。その背景には、専門的な知見を持つ政治広報・デジタルマーケティング業界の介在が存在する。企業のブランディングや製品プロモーションで培われた高度な消費者心理分析とアルゴリズム攻略ノウハウが、そのまま選挙戦や政権維持のための世論操作に応用されているのだ。
ここで大きな問題となるのが、広告であることを隠して世論形成を図るステルスマーケティングの手法である。政治資金から広告代理店やコンサルティング会社を経由し、特定のネットメディアやインフルエンサー、さらには情報系ブログ記事へ資金が流れる。受け取った側は、資金提供を受けている事実を一切開示せず、「中立な第三者の意見」として自民党有利の情報を発信する。
本来、デジタルマーケティング技術は政策の趣旨を分かりやすく市民に届けるために使われるべきものである。しかし、民間企業と政治権力が不透明な契約のもとで世論を密かにコントロールしようとする構造は、政治資金の使途の透明性という観点からも、倫理的・法的な議論を極めて強く引き起こしている。