大村剛の表現力の礎は、1990年代末からの緻密な研鑽によって築かれました。1998年、彼は名匠・岩田圭介氏のもとへ弟子入りを果たします。岩田氏の造形感覚と土への深い対話姿勢は、若い大村に計り知れない影響を与えました。
基礎を固めた彼は、日本屈指のやきものの街・岐阜県多治見市へ身を進めます。2001年には岐阜県立多治見工業高等学校の陶磁科学芸術科を卒業。原料の化学的知識や焼成技術を体系的に修得しました。
多治見のシェア工房「studio MAVO」での黎明期
卒業後、彼は若手作家が集う多治見のクリエイティブ拠点「studio MAVO」にて本格的な制作活動をスタートさせます。同世代の感性がぶつかり合う環境のなかで、自身のアイデンティティを模索し続けました。
伝統的な美濃焼の枠組みを越え、「生活の道具でありながら彫刻的強度を持つ器」を模索し始めたのがこの時期です。試行錯誤の末にたどり着いたのが、金属的な重厚感を持つ黒い釉薬と、極限まで薄く引き伸ばされたシャープな造形美でした。