2023年、コムアイは文化人類学的なドキュメンタリー撮影を兼ね、ペルーのアマゾン奥地で第一子を自然分娩により出産した。この体験は彼女の身体観をより根源的な次元へと押し上げることになる。陣痛に耐える姿、生まれたばかりの赤ん坊を抱きかかえて授乳する姿、そして自らの胎盤を口にするプロセスまでが包み隠さず記録・共有された。
なかでも、無造作に胸をはだけて赤ん坊に乳を与える写真は、SNS上で大きな反響を呼んだ。「神聖で美しい」という賛辞が集まる一方で、「過激だ」「公の場で見せるべきではない」という批判的な声もあがった。しかし、文明社会が覆い隠してきた「命を育む現場」の生々しさを突きつけることで、彼女は見る者の倫理観や美意識の揺らぎを浮き彫りにしたのである。
「授乳」をセクシャリティから切り離す試み
公共の場やデジタル空間における授乳の可視化は、世界的なフェミニズム運動においても主要な論点だ。コムアイの行いは、乳房を「性的対象」から「命の糧を与える器官」へと本来の役割に引き戻す行為に他ならない。彼女の写真に映る乳首は、エロスではなくアガペー(無償の愛)や野生の力強さを象徴している。