『HUNTER×HUNTER』の独自性を語る上で外せないのが、敵対勢力やサブキャラクターたちが獲得している凄まじいファン層の厚みです。勧善懲悪を完全に解体した重層的なドラマが、読者の価値観を揺さぶり続けています。
まず、盗賊集団クモを巡る幻影旅団メンバー人気ランキングにおいては、絶対的リーダーである団長クロロ=ルシルフルを筆頭に、飛影を彷彿とさせるスピード狂フェイタン、圧倒的忠誠心を誇るマチ、武闘派のフィンクスやシャルナークなど、各人に強烈な信奉者が存在します。流星街という「社会から見捨てられたゴミ捨て場」から生まれた彼らの連帯感は、単なる冷酷な殺人集団の枠を超え、家族以上の哀しい結束として読者の共感を呼び起こしました。
そして忘れてはならないのが、稀代の奇術師ヒソカ評判とファンの反応の特異さです。強者との命がけの交歓のみを求め、気まぐれにゴンの成長を促す「試験官」の役割を果たしたかと思えば、天空闘技場でのクロロ戦を経て旅団狩りを宣言する冷徹なプレデターへ変貌。「ヒソカ=最強であってほしい」という願望と、「いつでも足元をすくわれそうな危うさ」が同居する唯一無二の緊張感こそが、ネット掲示板やSNSで絶え間ない議論を巻き起こす源泉となっています。
また、キメラアント編が生んだ叙事詩的なドラマは、怪物の人気すら決定的なものにしました。メルエムとコムギ人気理由は、軍儀という盤上対局を通じて暴君から一人の心ある存在へと昇華した王と、盲目の少女との間に芽生えた純粋無垢な愛にあります。「おやすみなさい、メルエム」と語りかける最期の瞬間は、マンガ史に残る屈指のクライマックスとして今なお語り草です。さらに、直属護衛軍の一角であるネフェルピトーネットの反応を見ても、カイトを冷酷に屠った序盤の絶望的な恐怖から、王を守るためにゴンへ懇願する痛々しいまでの献身ぶりへと変化したことで、敵でありながら熱烈な愛好者を獲得するに至りました。