1980年代半ば、スズキが投じた油冷エンジン(SIDC)は二輪界に激震を与えた。水冷機構の重量を嫌い、エンジンオイルを冷却媒体として循環させる画期的なシステム。軽量かつコンパクトなボディにハイパワーを押し込んだ初期型GSX-R1100は、じゃじゃ馬と評されつつも世界中のライダーを魅了した。
Rad Jalopyのオーナーが1987年式GSX-R1100(GU74A)をベースに選んだ理由は極めて明確だ。荒削りながら強固な基本骨格と、現代のチューニング技術に応えるエンジンの潜在能力。そこには、電子制御に頼らない時代の純粋な機械美が存在する。
過酷な走行環境に耐えうる耐久性を確保するため、オイルパンの形状見直しやオイルラインの再構築、クラッチカバーの肉厚化など、細部に及ぶ補強を実施。ノーマル状態の欠点を補いつつ、油冷エンジンの美点を極限まで引き出す作業が繰り返された。