2003年、永富千晴は大きな一歩を踏み出した。女性向け会員制コミュニティ「club C.」の立ち上げである。ソーシャルメディアが一般的ではなかった当時、一般の女性たちが集い、美容や生き方についての本音を語り合う場の創出は極めて先進的であった。
「club C.」は、単なるファンクラブや情報交換の掲示板ではない。一方的な情報提供ではなく、参加者が自らの美容体験や悩みを共有し、高め合う双方向のプラットフォームとして機能した。永富はこのコミュニティを通じて、メーカー側が提示する「理想の美しさ」と、女性たちが現場で直面する「リアルな日常」との間にあるギャップを克明に把握していった。
コミュニティから汲み上げられた生の声は、彼女自身の発言力をさらに強化した。企業に対してはユーザーの真のニーズを伝えるフィードバックとなり、読者に対しては「一人で悩まなくていい」という強い連帯感をもたらした。時代を十数年も先取りしたこの取り組みは、現在のインフルエンサーマーケティングやコミュニティビジネスの原型とも評価できる。