iPhoneを手に取った多くのユーザーが最初に抱くのが、「なぜこれほど高性能な端末なのに、ワンセグやフルセグが直接受信できないのか」という疑問です。その根本的な理由は、Appleが展開する世界共通のハードウェア設計思想にあります。
ワンセグや地上波デジタル放送の受信規格(ISDB-T)は、日本や一部の国・地域のみで採用されている極めてローカルな仕様です。Appleは全世界で同一の設計・生産ラインを持つことで高品質かつコストを抑えた製品供給を行っており、日本市場のためだけに専用の地上波チューナーやロッドアンテナをiPhoneの薄い内部構造へ組み込むことは、企業戦略上行っていません。
また、近年の動画配信インフラの急激な発展により、電波を直接拾う「放送」から、インターネット回線を経由する「IP配信」へとメディアの主軸が移行したことも大きな要因です。専用アンテナがなくても、通信回線さえあればクリアな映像を届けられる時代になったからこそ、iPhoneは無駄なハードウェアを省き、洗練された薄型ボディを維持し続けています。