落ちること自体は不問とされるさがりですが、取組相手がこれに触れる行為には非常に厳正なルールが敷かれています。相撲規則において、「相手のさがりを故意に掴む行為」は明確な反則(禁じ手)と定められています。
日本相撲協会の規定では、攻撃や防戦の際に掴んでよいのは原則として「廻し(帯部分)」のみです。さがりは廻し本体ではなく付属品であるため、相手のさがりを指に引っ掛けて引き寄せたり、さがりを掴んで体勢を崩そうとしたりした場合は、行司や審判委員から反則を宣告され、その場で「反則負け」となります。
もちろん、前ミツを深く掴みにいった際に偶然指がさがりをかすめてしまうような不可抗力であれば、即座に反則を取られることは稀です。しかし、意図的に指をかけて引いたと判断されれば即座に勝負が決します。一瞬の指先の引っ掛かりが命取りになるため、力士たちは極限の攻防の中でも廻し本体だけを正確に掴む高度な技術を研ぎ澄ませています。