脳科学の最新研究は、言葉が出てこなくなる背景に「ワーキングメモリ(作業記憶)」の枯渇があることを指摘している。ワーキングメモリとは、脳の前頭葉に存在する「情報の仮置き場」だ。会話中、私たちは記憶のデータベースから瞬時に言葉を引っ張り出し、文脈に沿って並べ替えて出力している。
しかし、現代社会の医療・ヘルスケア分野で問題視されているのが、マルチタスクや通知の嵐によるワーキングメモリの過剰負荷だ。絶え間なく送られてくるチャットメッセージ、ニュース、SNSのタイムライン。処理すべき情報がキャパシティを超えて溢れかえると、脳の検索エンジンはフリーズを起こし、日常的に使っているはずの言葉さえ引っ張り出せなくなってしまう。