この事故が起きた当時、ポール・ウォーカーはシリーズ第7作となる『ワイルド・スピード SKY MISSION(原題:Furious 7)』の撮影期間中でした。感謝祭(サンクスギビング)の休暇を利用して一時帰宅していた最中の惨事であり、主役の突然の死によって撮影は一時完全にストップし、一時は作品の製作中止すら検討される事態となりました。
しかし、監督のジェームズ・ワンや主演のヴィン・ディーゼルをはじめとするキャスト・製作陣は、「ポールが愛した作品を最高の形で完成させ、彼をスクリーンから美しく送り出すことこそが最大の追悼である」と決断。脚本の大幅な修正を経て撮影が再開されました。
未撮影だったブライアンの登場シーンは、ポールの実弟であるカレブ・ウォーカーとコディ・ウォーカーがスタンドイン(代役)を務め、ピーター・ジャクソン率いるVFX制作会社「WETAデジタル」の最先端CGI技術によって、過去の未使用映像から抽出したポールの顔を合成して制作されました。
映画のラストシーンでは、ポール演じるブライアンとヴィン・ディーゼル演じるドミニクが白いスープラとダッジ・チャージャーで並走し、やがて別々の道へと分岐していく感動的な別れが描かれました。バックに流れたウィズ・カリファ feat. チャーリー・プースによる追悼曲「See You Again」は世界的な大ヒットを記録し、映画史に残るエモーショナルな名シーンとして今なお語り継がれています。