タイトルにも冠された「前前前世」という極端な言葉選びには、野田洋次郎特有の言語センスと物語の本質が凝縮されています。前世のさらに前、気の遠くなるような時空の彼方から「君を探しはじめた」というフレーズは、主人公の瀧(タキ)と三葉(ミツハ)が抱える、理由のわからない喪失感と渇望を見事に言い当てています。
単なる運命論ではなく、「銀河何個分かの どこかで」「心が身体を追い越してきたんだ」というSF的かつ詩的な描写が、彗星の落下という天文学的スケールの悲劇と、思春期の繊細な感情を結びつけます。どれほど記憶が薄れ、世界が書き換えられようとも、魂の奥底で相手を希求し続ける純度の高い祈りが、聴き手の胸を強く締め付けるのです。
出会う前から始まっていた恋心。この切なくも力強いメッセージ性こそが、映画を観終えた後も観客の心に残り続け、普遍的な名曲として愛される最大の理由です。