「本棚の重みで床が抜ける」という話は、都市伝説ではなく現実に起こり得るトラブルです。建築基準法施行令第85条において、一般的な住宅の居室における床の積載荷重基準は1800N/㎡(約180kg/㎡)と定められています。これは人が生活する家具や家電、人間の体重などを想定した最低限の基準値です。
ここで注意しなければならないのは、この数値が「部屋全体に均等にかかる重さ(等分布荷重)」を前提としている点です。幅90cm・高さ180cmクラスの一般的な本棚を床に置いた場合、専有面積はわずか0.3〜0.4㎡程度しかありません。その狭い接地面積に数十キロから数百キロの荷重が集中する「集中荷重」となるため、床材や下地への負荷は想像以上に高くなります。
もちろん、180kgを1kgでも超えた瞬間に床が真っ逆さまに抜け落ちるわけではありません。日本の建築構造には一定の安全率が見込まれているため、即座に倒壊することは稀です。しかし、許容範囲を超えた重量を長期間にわたって載せ続けると、床を支える構造材が徐々に変形し、最終的に「床の抜け落ち」や「床組みの破損」へと至るのが蔵書重量による床抜けの真実です。