この類まれな美術館の礎を築いたのは、昭和期に活躍した実業家であり数寄者としても名高い細見古香庵(本名・細見亮市)だ。彼の古美術に対する審美眼は妥協を許さず、神道美術、仏教美術、茶の湯の釜、そして蒔絵や陶磁器に至るまで、日本文化の深層を捉えた名品を次々と見出していった。
収集の情熱は一代で終わらない。二代、三代と受け継がれ、コレクションの幅は江戸時代の絵画や近代工芸へと劇的に広がった。現在、これらの貴重な文化財を厳格に管理・公開しているのが公益財団法人細見美術財団である。私財を投じて守り抜かれた数千点に及ぶ至宝は、日本美術界においても屈指の質と多様性を誇り、研究者たちにとっても貴重な知の宝庫となっている。