物語の舞台となるのは、東京の下町に佇む葬儀場「坂東会館」。主人公の清水美空は、就職活動に挫折し、縁あって坂東会館で葬祭ディレクターの見習いとして働き始めます。そこで出会ったのが、一見冷徹でビジネスライクに見えながらも、誰よりも故人と遺族の尊厳を重んじるベテラン葬祭プランナー・漆原(うるしばら)でした。
美空には、幼い頃から「亡くなった人の遺志や未練を感覚的に受け取ってしまう」という不思議な資質がありました。漆原は美空の特異な感性に気づきつつも、「私たちは霊媒師ではない。遺された生者が前を向くための儀式を執り行うのが役目だ」と厳しく諭します。二人は、突然の事故で子どもを亡くした夫婦、長年連れ添った妻を見送る老紳士、複雑な確執を抱えたまま別れることになった家族など、さまざまな葬儀を担当していきます。
物語のクライマックスにおける結末のネタバレとして重要なのは、漆原自身が抱えていた過去の傷と、美空の精神的自立です。漆原もまた、過去に大切な人を理不尽な死で失い、その無力感から感情を押し殺して職務に没頭していました。しかし、美空が故人のささやかな願いを丁寧にすくい上げ、遺族に寄り添う姿を見る中で、漆原自身の凍てついた心も解きほぐされていきます。
最終盤、美空は単なる「死者の声を聴く者」から、遺族が悲しみ(グリーフ)を受け入れて日常へと戻るための「架け橋」となる決意を固めます。映画および原作の結末では、特別な別れの儀式を終えた美空が、漆原の背中を追いかけるだけでなく、一人の自立したプランナーとして坂東会館の扉を開く姿が描かれ、深い余韻とともに希望に満ちた幕引きを迎えます。