読者の間でしばしば議論されるのが、「なぜライナーはあれほど死にたがっていたのに最後まで生き残ったのか」というテーマです。スラバ要塞の戦いや天と地の戦いなど、ライナーは常に自らを盾にして誰かを守り、幾度となく致命傷を負いながらも死に至ることはありませんでした。
マーレ編において、精神的に追い詰められたライナーは銃口を自らの口元に咥え、自殺寸前まで追い込まれます。彼を思いとどまらせたのは、ファルコやガビといった次世代の戦士候補生たちの存在でした。自分が背負った業を子供たちに引き継がせたくないという強い責任感が、彼を現世に繋ぎ止めました。
さらに物語の構造上、ライナーは「エレン・イェーガーの対比」として描かれています。自由を求めて前進し続け、最終的に破滅を受け入れたエレンに対し、死を望みながらも罪を背負って生き続けなければならなかったのがライナーでした。過酷な世界において、死は時として「解放」を意味します。諫山創氏がライナーに課したのは、死による安寧ではなく、自らの犯した罪と向き合いながら世界を見届けるという「生きる贖罪」だったと考えられます。