世間一般では「雨の日に車を洗うのは無駄」と捉えられがちですが、カーケアの専門家があえて雨天時に作業を行う最大の理由は、雨水による汚れの「ふやかし効果」にあります。
走行中の車体には、排気ガスの油分、大気中の粉塵、虫の死骸、鳥のフンなどが蓄積しています。晴天時に乾ききったこれらの汚れをスポンジで無理にこすると、ヤスリで擦るような微細な洗車キズ(スクラッチ傷)が塗装面に刻まれてしまいます。しかし、雨が降り続いている環境下では、ボディ全体が常に湿潤状態に保たれ、頑固な堆積汚れが自然に柔らかくふやけています。そのため、必要最小限の力で滑らせるだけで、ボディを傷つけずに汚れを浮かせることが可能です。
さらに見逃せないのが、洗車中の水滴蒸発トラブルの完全回避です。洗車で最も恐ろしいのは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムが日光の熱で乾き、白くリング状に固着する「イオンデポジット」の発生です。雨天時や曇天時は日光の熱による急速な乾燥が起きないため、炎天下のように「乾く前に急いで拭き取らなければならない」という焦りから解放されます。