ネット上の掲示板やSNSでは「鎌倉暮らし=毎日がリゾート気分」という理想論が拡散される一方で、移住後に後悔を滲ませる生の声も後を絶ちません。実際の居住環境における住みやすさの評判と移住デメリットのリアルを取材データから浮き彫りにします。
移住経験者の手記や地域コミュニティの調査において、最も多くの人が直面するギャップとして挙げるのが「気候風土と物理的インフラの厳しさ」です。
第一に、谷戸(やと)と呼ばれる山あいの地形や海沿い特有の「凄まじい湿気と塩害」です。梅雨から夏場にかけては除湿機が24時間稼働となり、革製品や本が短期間でカビに侵される被害が頻発します。また、自転車やエアコンの室外機、自動車の下回りが錆びるスピードは都心部とは比較になりません。
第二に、日常生活に直結する鎌倉市のごみ分別ルールの厳格さです。鎌倉市ではごみの減量化と資源化を目的に、燃やすごみ・燃えないごみの指定収集袋(有料)が導入されており、13品目以上に及ぶ細かな分別が求められます。集積所への出し方や戸別収集の運用ルールも厳格に管理されており、大都市圏の24時間いつでもゴミが出せるタワーマンション生活に慣れた人にとっては、大きな生活習慣の刷新を迫られるポイントです。
第三に、道幅の狭さと週末の慢性的な渋滞です。古都の景観を守るための都市計画制限により、道路の拡幅が容易ではありません。抜け道が存在しないため、救急車の進入や日用品の買い出しすら観光渋滞に巻き込まれるリスクを孕んでいます。