角野栄子による同名の児童文学を原作とする『魔女の宅急便』は、少女が生まれ育った家を離れ、見知らぬ街コリコで自立していく日常を温かい眼差しで描いた傑作だ。映像化にあたり、スタジオジブリは原作の持つ心地よい空気感を尊重しながらも、映像表現ならではのアニメーション的ダイナミズムを付け加えた。
単なる空想のファンタジーアニメにとどまらず、家賃の支払いに悩み、風邪をひき、挫折を味わう等身大の姿。背景美術の美しさや街並みの立体感もさることながら、そうした「生身の人間としてのリアリティ」が重なることで、本作は世代を超えて愛される世界的な名作へと昇華したのである。