スネ夫役の交代劇において、他のキャラクターとは一線を画す特別な人間ドラマが存在します。それが、肝付兼太さんと関智一さんの「師弟関係」です。
実は関智一さんは若手時代、肝付兼太さんが主宰していた劇団「21世紀FOX」に所属していました。関さんにとって肝付さんは、演技の基礎から表現者としての心構えまでを叩き込んでくれた「生涯の恩師」そのものでした。
テレビ朝日の新キャストオーディションにおいて、関さんは最初からスネ夫一本に絞っていたわけではありませんでした。しかし最終選考を経てスネ夫役に決定した際、真っ先に肝付さんの元へ報告に向かったといいます。恩師の当たり役を自分が継ぐことへの重圧と葛藤に苛まれていた関さんに対し、肝付さんは笑顔でこう告げました。
「智一、お前がやってくれるなら一番嬉しい。俺の真似をする必要はない。お前だけの新しいスネ夫を作れ」
この一言が関さんの重圧を解き放ちました。関さんは先代への深いリスペクトを払いながらも、物真似にとどまらない「関智一独自のスネ夫」を探求し続けたのです。
2016年10月20日、肝付兼太さんが肺炎のため80歳で旅立たれた際、関さんは深い悲しみに包まれながらも、師匠から受け継いだバトンを一生涯守り抜く覚悟を公の場で語りました。スネ夫というキャラクターの背後には、単なる配役交代を超えた演劇界の美しい師弟愛が息づいています。