葛城ユキさんの生涯を語る上で欠かせないのが、逝去のわずか約1か月前、2026年5月17日に千葉県・成田国際文化会館で行われた「夢スター『春・秋』合同大同窓会コンサート」への電撃出演です。これが彼女にとっての最後のステージとなりました。
当時、すでに病状は極めて重く、歩行すら困難な状態にありました。楽屋入りした葛城さんは車椅子に乗った状態で、長時間の着席すら体に負担がかかる状態でした。周囲のスタッフや共演者である同世代の歌手仲間たちは心配の面持ちで見守っていましたが、本人の意志は揺らぎませんでした。
ステージ中央へ車椅子で登場した葛城ユキさん。スポットライトを浴び、会場から割れんばかりの拍手が沸き起こると、彼女は介助の手を借りながら自らの足でしっかりと大地を踏みしめて立ち上がったのです。
マイクを握りしめ、歌い始めた楽曲はベッド・ミドラーの名曲を日本語でカバーした『ローズ(The Rose)』でした。「愛は花、育てれば咲く」という歌詞に魂を込め、かすれながらも芯のあるハスキーボイスをホール全体に響かせました。その場にいた観客だけでなく、舞台袖で見守っていた同僚歌手やスタッフ全員が涙を流したと伝えられています。
歌い終えた葛城さんは満面の笑みを浮かべ、客席に向かって深々と一礼しました。全エネルギーをこの数分間に注ぎ込んだ彼女は、コンサート終了後に再び病院へと戻りましたが、関係者には「歌えて本当によかった。絶対にまた戻ってくる」と力強く語っていたといいます。