インターネット上の掲示板や一部のWeb記事では、今なお「世帯視聴率が一桁台に落ち込んだから爆死した」「最近の日曜ドラマは質が低下している」といった短絡的な批判が散見されます。しかし、メディアビジネスの最前線を取材する記者として断言できるのは、こうした言説は現在のコンテンツ産業の実態を全く反映していないという事実です。
かつてのように「お茶の間に家族全員が集まり、同じチャンネルを眺める」ライフスタイルは、スマートフォンの普及と個別視聴の定着によって解体されました。現在のテレビ局やスポンサー企業が最も重視しているのは、SNSでの拡散力、タイムシフト再生率、そしてTVerや有料サブスクリプションを通じた「能動的なエンゲージメント」です。
実際、世帯視聴率が5%前後の作品であっても、TVerの週間再生数が300万回を超え、Xで世界トレンド入りを果たせば、スポンサー企業にとっては若年購買層へのリーチとして大成功とみなされます。ネット上の過激な見出しに惑わされ、「数字が低いから面白くない作品なのだ」と決めつけるのは、現代の優れた脚本や俳優陣の名演を見落とす最大の盲点と言えます。